財産的基礎

1. 財産的基礎等の重要性

建設業を営むためには、工事に必要な資材の購入、労働者の確保、機械器具等の購入といった資金調達が不可欠です。そのため、建設業の許可を取得するためには、一定の財産的基礎を有していることが求められます。特に、工事の規模が大きくなるほど、財務基盤が安定していることが重要です。

建設業法では、一般建設業特定建設業において財産的基礎等の要件が異なります。この記事では、各業種ごとの財産的基礎等に関する要件を解説します。

2. 一般建設業の財産的基礎等の要件

一般建設業の許可を受けるためには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

  • 自己資本500万円以上
    建設業者は、自己資本が500万円以上であることが求められます。自己資本が安定していることは、建設業者の信用力を高める要素です。
  • 500万円以上の資金調達能力
    500万円以上の資金調達能力を有している場合、財産的基礎等が備わっていると見なされます。資金調達能力は、担保となる不動産の所有などによって評価されます。
  • 過去5年間の継続的な営業実績
    許可申請の直前の過去5年間にわたって、建設業の許可を受けて継続して営業していた実績がある場合、その業者は財産的基礎を有していると見なされます。

3. 特定建設業の財産的基礎等の要件

特定建設業の場合、一般建設業よりも高い財務基準が求められます。これには、下請負人の使用や支払い義務に関する規定が影響しています。特定建設業者は、以下のすべての要件を満たさなければなりません。

  • 欠損額が資本金の20%を超えないこと
    企業の欠損額が資本金の20%を超えていないことが求められます。欠損額が過度に大きい場合、健全な経営が難しくなるため、慎重に評価されます。
  • 流動比率が75%以上
    流動比率が75%以上であることが条件となります。流動比率は、短期的な支払い能力を示す指標であり、企業の安定性を評価する重要な要素です。
  • 資本金2,000万円以上、自己資本4,000万円以上
    資本金が2,000万円以上であり、かつ自己資本が4,000万円以上であることが必要です。特定建設業者は、大規模な工事を請け負うため、強固な財務基盤が求められます。

4. 一般建設業と特定建設業の違い

特定建設業は、下請負人を多く使用することが一般的であり、発注者からの支払いが遅れた場合でも、下請代金の支払い義務があります。そのため、健全な経営基盤が特に重要です。特定建設業の財産的基礎等は、一般建設業よりも厳しく設定されています。

5. まとめ

建設業の許可を取得するためには、財産的基礎等を満たしていることが必須です。特に特定建設業の場合、自己資本流動比率などの高い基準が求められます。一般建設業も、安定した資金調達能力営業実績が必要です。これらの基準をクリアすることが、健全な経営の基盤を作るために重要です。